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わずか2歳半の十夢(とむ)くんに起きた、犬の「若年性白内障」とは?
白内障とは、目の中にある水晶体の部分に白い濁りがみられるようになり、視力が低下していく病気のことをいいます。
犬の白内障は、進行が進むと失明する可能性もあり、症状がみられた場合は早期の治療が必要となります。
また犬の白内障には、いくつかの種類があります。
- 老年性白内障
- 遺伝的(先天性白内障/若年性白内障)
- 目の外傷(外傷性白内障)
- 糖尿病の合併症(代謝性白内障)
- 若年性白内障
中でも、5歳以下で発症する白内障を「若年性白内障」と呼び、進行が早いと言われています。
白内障の進行には4つにステージがあります。
- 初発期 飼い主も気付きにくく自覚症状が無い。
- 未成熟期 白濁が水晶の中に見えはじめ、視覚障害が始まる。
- 成熟期 白濁が水晶全体に見られ、視力の低下が出る。
- 過熟期 失明する一歩手前で、水晶体が硬くなり脱臼数などの症状も出る。
ちなみに白内障になりやすい犬種としては、コッカースパニエル・プードル・ビーグル・シーズー・柴犬・チワワなどに発症が多いとされています。
トイプードルの「十夢君」は、わずか2歳半で「若年性白内障」と診断されました。
今回は、十夢君のママさんからいただいた体験談をご紹介します。
十夢(とむ)くんの目に起きた異変
今から10年ほど前のお話です。
十夢が2歳半ごろ、目の中にポツンと白いものがあるのに気が付きました。
かかりつけの病院で、何気なく先生に診てもらうと、「すぐに東京の眼科専門病院に予約を入れて行ってください」と言われました。
無知だった私は、「えっ?そんなに大変なことなの?」と焦りました。
2週間後、ドキドキしながら眼科専門医へ向かいましたが、緊張がさらに高まる雰囲気の病院でした。
いろいろな精密検査を行った結果は、「若年性白内障」
「手術の成功率は、80%」といわれました。
当時、日本でNo. 1と言われていた眼科専門医の先生でしたが、病院のクールな雰囲気にお願いしようとは思えない自分がいました。
悩みに悩んだ末に行った、「手術はしない」という決断!
その後も、セカンドオピニオンでいくつかの病院で診てもらいましたが、どの病院でも「このままにしていたら目が見えなくなりますよ」といわれました。
しかし、ある病院の先生から「目が見えないことは不自由だけど、不幸ではないよ」と言われ、私の心に光が灯りました。
「十夢が見えなくても不幸にはならないし、絶対に不幸にはしない!」との強い気持ちで、私は手術をしない選択をしたのです。
「若年性白内障」のあまりに早い進行に揺らぐ心
その頃から、十夢があちこちにぶつかったり、つまずいたりするようになりました。
視力がどんどん低下しているのは明らかです。
十夢の目の中が真っ白になっていきました。
その姿を見て「手術をしない選択は間違いだったのかな?」「手術をして目が見える方が幸せだったのかな?」と、不安になることも度々ありました。
十夢の気持ちが聞けたらどんなに良いか…。
「十夢ごめんね…」と何度も思いました。
白内障の進行を少しでも遅らせたい!
白内障の進行が少しでも遅くなるように、目が見える時間が少しでも長くなるように、目に良いとされるものは積極的に試しました。
抗酸化作用のあるサプリやルテインなどを与えていましたが、間もなく左目は見えなくなりました。
ただ、幸いにも右目の進行はゆっくりで、完全に見えなくなったのは、それから4年後のことでした。
失明した後も続く目のトラブルにも対応
その後も十夢は、月に1度は眼科専門医を訪れ、診察を受けています。
毎日6回から7回のヒアルロン酸の点眼薬や、その時々の変化に合わせた点眼薬を投与しています。
実は、角膜腫瘍もジワジワと進行し、時々眼圧が上がります。緑内症のトラブルもあります。
小さな変化を感じたら早めに診察を受け、ひどくならないように対応しています。
また内臓にトラブルが起きると、目の症状も悪化する事が多くなっていて、目と内臓には深い繋がりがあるそうです。
目が見えなくなってからの十夢君の変化
目が見えていた頃は警戒心が強く、元気な犬や鳥など動くものに反応し、吠えていた十夢でした。
しかし、見えなくなってからは、逆にストレスが減って穏やかになり、他の犬達とも積極的に交流したがるようになりました。
また、楽しそうに散歩できるようになった十夢にとって、目が見えない事は自然な事だったと思います。
ここ最近、ふとした事でビクビクしたりすることもありますが、恐怖心が和らぐように前にも増して言葉をたくさんかけています。
会話も増え、楽しみでもあります。
ママさんが気を付けている事!
部屋の中の動線を変えないように、家具などの位置はずっとそのままにしています。
そのせいか「実は見えてるのでは?」と思うほど、家の中では不自由なく器用に生活しています。
公園を散歩していても、十夢が全く見えていない犬であることに気付く人はいません。
いつも楽しそうに散歩しています。
白い目は、十夢のチャームポイント!
手術をしない選択は、私たちには正解だったと思います。
十夢の目が見えないことは、私の視野を広げてくれました!
十夢が私たちの家族を選んでくれたことに感謝しています!
十夢君とママさんの奮闘記!
トイプードルの十夢君と七夢ちゃん2人のインスタグラムには、微笑ましい写真がいっぱいです。
そして、2人の仲の良さに笑顔になります。
十夢君、ママさん!ありがとうございました。
【写真・情報提供/十夢君ママ】