犬の「肥満細胞腫」(ひまんさいぼうしゅ)とは?
肥満細胞腫とは、犬の皮膚や皮下にあらわれる「悪性腫瘍」です。
基本的に「悪性腫瘍」ですので、放置してはいけません。
早期に切除すれば完治するものも多いですが、内臓に転移して死に至ることもあるため注意が必要です。
ちなみに肥満細胞とは、体を構成している免疫細胞の一種です。
外からの異物に対して、炎症反応やアレルギー反応を起こす重要な役割を果たしているのですが、多くなり過ぎると様々な問題の原因になることがあります。
肥満細胞という言葉から、犬の太り過ぎなどに関係しているように思われがちですが、体の肥満とは全く関係ありません…(汗)
顕微鏡で見ると、細胞が膨らんで見えるため、「肥満細胞」と名付けられているそうです。
「肥満細胞腫」の症状は?
肥満細胞腫は、犬の腫瘍の中で最も発生率の高い腫瘍ですが、症状や悪性度は様々です。
形や大きさ、色や硬さも犬によって異なり、虫刺されのように見えることもあるので注意が必要です。
陰部の周辺や四股(脚)、頭部から首にかけて発生することが多く、毛が抜けて気付く飼い主さんもいます。
また、炎症を起こす物質(ヒスタミン)を放出するので、皮膚の赤みや痒み、出血や胃潰瘍などの症状を起こすこともあります。
悪性度の低いものは手術で簡単に治りますが、症状が悪化すると皮膚からリンパ節、肝臓、脾臓、骨髄、腸などに転移してしまいます。
内臓に転移すると、吐き気や食欲低下、血便、貧血、排便困難などの症状があらわれます。早めの治療が必要になりますね。
進行の様子や悪性度によって、3つのグレードに分類され治療法も異なります。
[グレード1 ] 皮膚表面にできる1㎝以下のしこりで、外科手術のみで完治が見込める。
[グレード2 ] 転移を起こす可能性があり、手術しても再発や転移する可能性が高い。
[グレード3 ] 外科的手術と抗がん治療を組み合わせ、状況により放射線治療も行います。
なんだか怖い腫瘍ですね…。
毎日のボディチェックを忘れずに、皮膚や皮下に異常を見つけたら動物病院に行きましょう。
早期発見が大切です。
今回は、そんな「肥満細胞腫」が完治した、ミニーちゃんの体験談をご紹介します。
ミニーちゃんの肥満細胞腫!
2019年6月、愛犬ミニーが8歳の時の体験談です。
ある日、ミニーの外陰部分に虫刺されのような「できもの」を見つけ、気になり病院へ連れて行きました。
先生の診断により、ステロイドと抗生剤の薬がで1週間様子を見ることになりましたが…。
1週間後の検診では、「できもの」が縮小しなかったので、細胞を顕微検査することに。
検査の結果は、「肥満細胞腫」の特徴である細胞が見られた為、急遽4日後に切除手術をお願いしたのです。
ミニーの「肥満細胞腫」は外陰部にできていたので、本来は、大きく切除するのですが…。
先生が「術後の生活に支障がないように」と、配慮して切除してくれました。
手術後、傷口を舐めないようにエリザベスカラーをしていました。
タオルを首に巻いたりも、していました。
手術後の病理検査の結果!
切り取った腫瘍は、病理組織検査に!
数日後の病理組織検査の結果は…
- 肥満細胞腫の悪性腫瘍部分は全て取り除かれていること
- 抗がん剤が聞きにくいタイプの肥満細胞腫であること(肥満細胞腫の中では2割ほど)
- もし転移した場合、今後の治療としては、抗がん剤治療は難しいこと
- 手術後半年以内に転移が見られない場合は完治したと見られること
経過報告も半年ほどしていただきましたが、問題なかったです。
4年経った現在
手術してから4年経ちますが、今のところ再発はありません。
ミニーの場合、肥満細胞腫の大きさが、ごま粒ほどの初期の段階で見つけることができたことが良かったんだと思っています。
ミニーちゃんママさんが伝えたい事
肥満細胞腫は命を落としてしまう怖い病気ではありますが、早期発見、早期治療でワンちゃんの命を救える事もあります。
身体のどの部分にも発症する可能性があり、見た目も色々で、虫刺されかと勘違いする飼い主さんもいるかと思います…。
大きな特徴は、増殖スピードが非常に早いこと!
「できもの」だと思っていると、気づいた時には大きくなっています。
大きくなっている「できもの」を見つけた時には、迷わず動物病院での顕微検査をお勧めします。
ミニーちゃん、ママさん!ありがとうございました。
ミニーちゃんはてんかん•低アルブミン症の治療頑張っています☘️
【写真•情報提供/ミニーちゃんママ】
インスタグラム
https://www.instagram.com/happymeimei333