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トイプードルなどの小型犬に多い膝蓋骨脱臼(パテラ)の注意点!

犬の膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)=「パテラ」とは?

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とは、膝のお皿が正常な位置から外れてしまう疾患です。

一般的に「パテラ」と呼ばれることが多いです。

膝蓋骨(膝のお皿)がずれてしまうと痛みが生じ、歩き方などに異常が見られるようになります。

小型犬では、子犬の頃から発症する可能性が高いですが、中型犬、大型犬でも起こるので注意は必要です。

特にトイプードルは最も発症の可能性が高く、7頭に1頭が発症していることが分かっています。

トイプードルの他にもポメラニアンやチワワ、柴犬などに発症することが多いです。

重症化すると手術を必要としたり、歩行が困難になったりするので、適切な予防や対策をとることが大切です。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の原因

膝蓋骨脱臼(パテラ)には、先天的な原因と後天的な原因があります。

先天的な要因は、「生まれつき」なので予防する方法はありません。

生まれつき膝の靭帯が弱かったり、筋肉や骨の形に異常があったりして脱臼しやすくなるのです。

一方、後天的な要因には、高いところからの転落や転倒、交通事故などがあります。

どちらも膝や関節に強い負荷がかからないよう注意が必要です。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の4つのグレード

膝蓋骨脱臼(パテラ)には、症状によって4つのグレードに分かれます。

グレードが低くても、脱臼したままにしておくと、関節炎の発症や骨・関節の変形が起こってしまいます。

さらに悪化すると通常の歩き方に戻らなくなってしまうこともあるので注意が必要です。

愛犬の歩き方や走り方に異常が認められた場合は、早めに動物病院に受診してください。

グレード1:激しい運動で脱臼する、スキップする

膝蓋骨(膝のお皿)を指で押すと脱臼してしまいますが、指を離すと正しい位置に戻ります。

激しい運動をすると脱臼することがあり、外れた際にキャンと鳴いて後ろ足をあげたりします。

スキップをするような動きが見られたら、グレード1の可能性があります。

グレード1では、日常生活で脱臼を起こすことは少ないため、飼い主さんも気づかないことが多いです。

グレード2:簡単に脱臼してしまう

後ろ足を伸ばした時に簡単に脱臼する状態です。

後ろ足を曲げ伸ばしたり、膝蓋骨(膝のお皿)を指で押したりしているうちに正常の位置に戻ることもあるため、日常生活にあまり支障はありません。

脱臼時には、痛みで後ろ足が地面につけない状態になります。

愛犬が、足を曲げ伸ばしするような仕草を見せたら、脱臼による違和感を元に戻そうと試みているのかもしれません。

早めに動物病院に受診しましょう。

グレード3:脱臼したまま、歩行に異常が見られる

膝蓋骨(膝のお皿)は常に外れたままです。

指で押すと一時的に戻りますが、またすぐに脱臼してしまいます。

後ろ足を曲げ、腰を落とした状態で歩くなど、歩行の異常がみられるため、多くの飼い主さんが異常に気付くようになります。

グレード4:常に脱臼している、正常な歩行ができなくなる

膝蓋骨(膝のお皿)は常に外れたままです。

指で押しても正常な位置に戻すことができません。

ひざの関節を伸ばすことができなくなるので、正常な歩行ができなくなります。

後ろ足を曲げたまま、うずくまるように歩いたり、地面に足をほとんどつけられなくなります。

膝蓋骨脱臼(パテラ)の注意点!

先天的な理由で膝蓋骨脱臼(パテラ)になっている場合、根本的な治療は難しいです。

そのため基本的には、鎮痛剤によって痛みを和らげたり、サプリなどで悪化を防ぐための保存療法を行うことになります。

またグレードが上がり、歩行が困難になった場合や、頻繁に脱臼を繰り返す場合、外科的手術を行うことがあります。

いずれにしても、膝や関節に負荷をかけない環境づくりや対策が必要です。

ここでは、いくつかの注意点や対策についてご紹介していきます。

滑りやすいフロアリングにはマットを敷く!

滑りやすいフローリングなどは、膝や関節への負担が大きいです。

床にカーペットやマットを敷いて、膝に負担のかからない環境を整えてください。

また、爪や肉球の間の毛が伸びると足が滑りやすくなります。

定期的にケアをするようにしましょう。

ソファや階段などの段差に気を付ける!

先天的の原因がなくても、高いところから飛び降りたり、激しく転倒したりすると、膝蓋骨脱臼(パテラ)になってしまうことがあります。

高めのソファや階段など、犬が飛び降りそうな場所には、十分気を付けるようにしましょう。

膝や関節に良いサプリメントを飲ませる!

サプリメントを飲ませることで、膝や関節をケアすることもできます。

サプリメントの中には、コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンなどが含まれているものもあります。

獣医師のアドバイスを参考に、愛犬に合ったものを使用するようにしましょう。

適切な体重管理と適度な運動をする!

愛犬の体重管理はとても重要です。

体重が重いと膝や関節にかかる負担が大きくなってしまうからです。

食事や運動で適正な体重を保つようにしましょう。

また、膝や関節まわりの筋肉を鍛えることで、症状の悪化を防ぐこともできます。

水の中で行う運動など膝に負担をかけないトレーニングもあります。

自宅でできる「パテラ」チェック!

愛犬が膝蓋骨脱臼(パテラ)になっていないか、チェックしてみましょう。

いくつかの項目に当てはまるようなら、獣医師の診断を受けることをオススメします。

  • 腰を振りながら歩いていないか?
  • 横座りしていないか?
  • 後足を片方ずつ後ろに延ばしたとき嫌がらないか?
  • 後足をかばって歩いていないか?
  • 歩いたり走ったりする際にケンケンしたりしないか?
  • 突然、後足を時々後ろに伸ばすことはないか?
  • 運動後に後足をかばうことはないか?
  • 足を曲げたときに、膝の位置でカクッという感触はないか?
  • 足先が内側に向いていないか?

まとめ

小型犬に多いと言われている膝蓋骨脱臼(パテラ)ですが、中型犬や大型犬も発症することがあるため、全ての犬に注意が必要です。

初期の頃には気付くことが難しいですが、放置してしまうと、正常な歩行ができなくなることもあるため、おかしいなと思ったら獣医師に相談するといいでしょう。

生まれつきの原因でパテラになる犬も多いですが、転落や転倒など、膝や関節に強い負荷がかかることで発症することもあるため、ソファや階段、フロアリングなどには注意が必要です。

また食事や運動による体重管理や、膝や関節まわりの筋トレも重要です。

愛犬の健康を守るために、飼い主さんも愛犬の観察やケアを心がけるようにしてください。

  • この記事を書いた人

にこまる

《13歳トイプードルの女の子 にこまる》/水晶摘出•左目失明•右目視力無し/乳腺腫瘍摘出/遺伝性網膜萎縮•アトピー性皮膚炎/気管虚脱/パテラグレード2から1に!

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