体験談

犬の遺伝性網膜萎縮から失明まで!にこまるの体験談

🧬 遺伝性網膜萎縮症(PRA)とは?

遺伝性網膜萎縮症(PRA) は、網膜の光を感じる細胞(桿体・錐体)が進行的に変性・萎縮し、徐々に視力を失っていく 遺伝性の眼疾患です。最終的には完全な失明に至ります。痛みは伴わず、主に視覚機能だけが影響を受けます。

🐶 どの犬種で多い?

PRAは多くの犬種で報告されており、純血種で特に発症リスクが高い傾向があります。

よく見られる犬種例

• プードル(トイ・ミニチュアなど)

• ダックスフンド

• レトリーバー類

• コッカースパニエル

• シェルティ

• ヨークシャーテリア など

(※日本でも人気犬種で頻度が高いことが確認されています)

🧠 遺伝の仕組み

PRAは 遺伝性疾患 であり、遺伝子の異常が原因です。全体としては次のような遺伝形式があります。

常染色体劣性遺伝(多くのケース)

→ 両親からそれぞれ異常遺伝子を受け継いだ犬が発症します。

→ 片方だけのキャリア(保因)は発症しませんが、次世代に遺伝子を伝える可能性があります。

稀に X連鎖遺伝(例:シベリアンハスキー)

一部で優性遺伝の例 も報告あり(犬種による違い)

簡単に言うと、両親がキャリア(保因)である場合、新しい子犬の25%が発症しうる というパターンが多いです。

👁️ 症状と進行

PRAの症状はゆっくりと進みます。

初期症状

• 暗い場所での視力低下(夜盲)

• 暗がりを嫌がる

• 光を当てると目が強く反射する

進行

• 日中でも視力が低下

• 段差や障害物につまずく

• 最終的に 完全な失明

にこまるのように既に失明しているケースは、 病気の最終段階 にあります。

🩺 診断方法

PRAの診断は以下によって行われます。

• 獣医による 眼科検査

眼底検査(網膜の状態を観察)

• 必要であれば、網膜電位検査(ERG)

遺伝子検査(血液・口腔ぬぐい液から)

遺伝子検査は、発症リスクやキャリアの有無を調べるのに非常に有用です。

🧪 現在の治療とケア

残念ながら 進行を止める根本的な治療法は確立されていません(完治は不可)。遺伝子治療は一部で研究中ですが、一般的な治療としては確立されていません。

主要なケア方針

• 痛みがないことを理解する(視力以外の痛みは無い)

• 生活環境の安全強化

→ 家具の位置は変えない

→ 階段や段差にガードを設置

→ 音や香りで誘導できる工夫をする

• デイリールーチンを固定する

→ 食事・水・トイレの位置を一定に 保つ

• 口頭の指示や音で誘導

→ 視覚以外の感覚を活かすサポート

こうした配慮によって 失明後でも犬の生活の質を高く保つことが可能 です。

📌 予防・ブリーディングの考え方

PRAは遺伝性なので、繁殖を考える場合の遺伝子検査 が重要です。キャリア同士やキャリア×発症リスクのペアリングを避けることで、発症犬の誕生を大幅に減らせます。

🧬 目の遺伝子検査(PRA遺伝子検査)について

PRA(遺伝性網膜萎縮)遺伝子検査は、

将来PRAを発症する可能性があるか、

または 遺伝子を持っているか(キャリアか) を調べる検査です。

症状が出る前の 子犬や若い犬でも検査可能 で、

発症前にリスクを知ることができます。

にこまる8歳での違和感と早期発見!

にこまるが8歳の頃、光の当たり方で目が白く見えたため検査を受けました。

最初の検査では異常なしでしたが、東京の眼科専門医で再検査を行い、“遺伝性網膜萎縮(早期)“と診断されました。

遺伝性の目の病気は治療法がないと言われましたが、早期発見だったため、網膜に良い目薬とサプリメントで経過観察をすることに。

その後 約2年半、進行は止まり、半年ごとの検診でも先生が驚くほど安定していました。

2021年5月 左目・水晶前方脱臼

2021年5月、散歩中に左目を細める様子があり受診したところ、左目の水晶前方脱臼と眼圧上昇が判明。

眼圧がなかなか下がらず、危険な状態のため1泊入院となりました。

引っ越し予定が迫る中、毎日通院しながら4種類の眼圧を下げる薬で様子を見ましたが、左目は次第に白く濁っていきました。

病院からは「眼球摘出と義眼」という選択肢を提示され、その現実を受け入れざるを得ない状況でした。

岡山での出会いと希望の手術

2021年6月、岡山県へ引っ越し後、倉敷市のナディア眼科専門医(瀧本先生)を受診。

そこで「水晶摘出手術をすれば光を感じられる可能性がある」「眼球摘出をしなくても良い」と説明を受け、大きな希望を感じました。

説明は簡潔で分かりやすく、すべてに納得しました。

手術の3日前から、エリザベスカラーと飲み薬、目薬でのケアが始まりました。

そして2021年6月8日、左目の水晶体摘出手術を実施。

初めてのエリザベスカラーに、にこまるは嫌がって固まってしまい💦

ご飯も食べず、トイレもしなくなり、とても心配しました…。

獣医師に相談すると、

「犬はちゃんと慣れます。慣れないのは飼い主さんの方ですよ!」と言われてハッとしました。

外してあげたい気持ちをぐっと堪え、エリザベスカラー姿のにこまるを信じて見守ることに。

手術は無事に成功!

2泊3日の入院も、本当によく頑張ってくれました✨

※遺伝性疾患のため保険適用外で、手術費用は高額でした。

※飼い主にとって一番大変だったのは、1ヶ月以上のエリザベスカラーと、厳密な時間指定の目薬投与を1ヶ月続けることでした。

回復とその後の経過!

手術後のエリザベスカラーも1ヶ月以上頑張っていました。

あんなに辛そうだったにこまるの表情も変わり、エリザベスカラーにも慣れ散歩も楽しんでいました。

手術後40日ほどで、体力も視力も回復し山登りができるまでになりました!

しかし水晶体摘出手術後は、術前よりも目が弱い状態になり、合併症のリスクが高くなる可能性があると、獣医師から説明を受けていました。

特に紫外線は目に大きな負担になるとのことで、市販のゴーグルや帽子をいくつも試しましたが、どうしても合わず…。

そんな時、にこまるのために祖母が手作りしてくれたのが、この帽子でした。

軽くて、首を振っても脱げにくく、にこまるも嫌がらずに被ってくれる。

この想いから生まれた帽子が、今では「にこまるプロジェクト」で販売している人気のオリジナル帽子になりました。

その後は

・目薬は1日2回

・月1回の眼科専門医での検査を継続。

右目への影響と2回目の手術

先生からは、「遺伝性の目の病気は、必ず両目に起こる」と言われていました。

2022年1月の検診では手術した左目は良好でしたが、右目の手術を視野にいれながら、山登りでの体力づくりをしていました。

2022年8月、右目が急激に白くなり水晶前方脱臼を発症。

ナディア眼科専門医で水晶前方脱臼と硝子体漏れと診断。

覚悟はしていましたが、左目と同じ水晶摘出手術を行いました。

恐れていた「角膜浮腫」に!

両目が見えていた時間は、ほんの1年間でした。

それでもその間に、たくさんの美しい景色を見せてあげることができました。

両目で見える時間が長くはないかもしれない。

そう覚悟していたからこそ、一日一日を大切に、噛みしめるように過ごしていました。

手術後は、術前よりも目が弱い状態になり、合併症のリスクが高くなることも分かっていたからです。

そして右目の手術から1年後、右目は再び白く濁り、角膜浮腫と診断されました。

その3ヶ月後、右目の視力を失いました。

角膜浮腫は、角膜内皮細胞の機能低下により、角膜の水分調整ができなくなり透明性が失われ白く濁ってしまう状態です。

角膜浮腫には根本的な治療法はなく紫外線に注意して過ごすことが大切だと説明を受けました。

重度になると角膜が膨らみ、破裂すると強い痛みや不快感を伴う可能性があります。

にこまるの場合は、右目の水分が無くなり目が萎んでいきました。

痛みは感じていませんでした。

現在、にこまるは、右目は角膜浮腫により閉じてしまい、左目も角膜浮腫で真っ白になり、両目とも視力はありません。

左目も急速に角膜浮腫が進行し、診断を受けてから失明まで、わずか3ヶ月でした。

最初は、突然両目が見えなくなったことによる強いストレスから、壁にぶつかったり、怖くて歩けなくなったり、イライラしてしまう姿も見られました。

それでも少しずつ環境に慣れ、今では毎日を穏やかに、そして前向きに生きています。

慣れた道では自信を持って歩き、風の匂い、地面の感触を頼りに今も散歩を楽しんでいます。

※両目が失明してから、耳も聞こえにくくなりました

犬にとって「見ること」だけが幸せのすべてではありません。

・大好きな人の声が聞こえること

・安心できる居場所があること

・いつもと同じ毎日が続くこと

それだけで、犬は十分に幸せを感じられます。

もし今、「失明したらかわいそう」「何もできなくなるのでは」と不安を抱えている飼い主さんがいたら、どうか知ってほしいのです。

愛情があれば、犬はちゃんと適応し、自分なりの世界で生きていけます。

にこまるが教えてくれたのは、「見えなくなっても、幸せはなくならない」という大切な事実でした。

私の体験談が同じ状況で悩んでいる飼い主さんの参考になれば嬉しいです。

 

  • この記事を書いた人

にこまる

《13歳トイプードルの女の子 にこまる》/水晶摘出•左目失明•右目視力無し/乳腺腫瘍摘出/遺伝性網膜萎縮•アトピー性皮膚炎/気管虚脱/パテラグレード2から1に!

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