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犬の命を守るため予防できる感染症は、確実に予防する!
犬は言葉で痛みや不調をうったえることができません。
そのため感染症などの病気にかかってしまうと、飼い主さんが病院に連れていったときには、すでに深刻な状態になっているケースが多いです。
愛犬の苦しむ姿を見るのはとてもツラいものです。
深刻な状態であるほど治療も長引きますし、経済的な負担も増えてしまいます。
そのため、予防できる感染症は、確実に予防することが重要になります。
なかでも重大な感染症を予防するワクチン接種や寄生虫対策は必ず必要です!
ここでは、必要なワクチン接種や寄生虫対策について解説していきます。
犬のワクチン接種
犬のワクチン接種は、死亡率や感染率の高い伝染病を予防するために必要なものです。
法律で義務付けられている狂犬病のワクチン接種はもちろん、ジステンバーやパルポウイルス感染症など、重大な病気を防ぐ混合ワクチン接種などは、愛犬の命を守るために必ず接種する必要があります。
犬の混合ワクチン接種
犬の混合ワクチン接種は、死亡率の高い感染症を一度に複数予防することができるワクチンです。
動物病院で接種を受けることができます。
ワクチンの接種時期や回数は、その犬の月齢や年齢、体調や居住地域によっても異なるため、獣医師に相談をして適切なワクチンプログラムに従って接種することをおすすめします。
通常は、生後50日前後に1回目、その3〜4週間後に2回目を受けますが、場合によっては、3回目以降が必要になることもあります。
また2年目以降は、1年に1回になります。
対応している感染症の数によって2〜8種類までのワクチンがありますが、5種以上が一般的です。
ちなみに8種混合ワクチンの費用は、7,000円〜9,000円が相場とされています。
【対象となる感染症】
- ジステンバー感染症
- パルポウイルス感染症
- 伝染性肝炎(アデノウイルスI型感染症)
- アデノウイルスII型感染症
- パラインフルエンザ
- レブストピラ感染症 黄疸出血型
- レプストピラ感染症 カニコーラ型
- コロナウイルス感染症
犬の狂犬病ワクチン接種
狂犬病は感染した動物に咬まれることにより、その唾液中のウイルスが傷口から侵入して感染する病気です。
脳に至る中枢神経がおかされ、凶暴化して死にいたります。
人間にもうつる可能性があり、死亡率はほぼ100%という恐ろしい病気です。
狂犬病の発生を防ぐため、年に1度の接種が法律で義務づけられ、動物病院または自治体の定める会場で受けられます。
初回は、生後3ヶ月(90日)を過ぎたあたりで予防接種を行います。
畜犬登録を行う場合は、その「注射済証明書」を持って、30日以内に市区町村役場か保健所で畜犬登録の手続きを行ってください。
2年目以降は、1年に1回の接種が義務づけられ、これに違反した場合、20万円以下の罰則があります。
初回の費用は畜犬登録を含め6,000円〜7000円程度。
2回目以降は、3,000円〜4,000円程度になります。
犬の寄生虫予防・駆除
また愛犬の健康を維持する上で、寄生虫の予防も大切です。
寄生虫には大きく分けて、皮膚や体毛につくノミ・ダニなどの外部寄生虫とフィラリアや回虫のように胃や腸、心臓などにつく内部寄生虫があります。
フィラリア症の予防
フィラリア(犬糸状虫)は、蚊を媒介して寄生します。
白いソーメンのような糸状の内部寄生虫で、心臓や肺動脈に寄生して増殖します。
進行すると心臓疾患を起こし、死に至ることも多いです。
地域によって異なりますが、蚊の発生期間(5〜11月頃まで)に、月1回の予防薬を投与します。
飲み薬のほかに皮膚に落とすスポット(滴下)タイプの薬もあります。
すでに感染していると予防薬で副作用を起こすことがあるので、事前に動物病院で必要な検査を行ない、処方してもらってください。
予防薬は、1回分1,000円〜3,000円程度。犬の体重によって異なります。
ノミやダニの予防・駆除
ノミやダニは、皮膚や被毛など体の表面に寄生し、ひどいかゆみを引き起こします。
かゆい部分をかきむしると傷口から皮膚炎を起こしたり、大量に寄生されると貧血やアレルギー症状などが出たりすることもあります。
ノミの感染ピークは梅雨から夏にかけてですが、室内の温度が13度を超えていれば冬でも十分に活動できます。
予防には、部屋をこまめに掃除するなど、生活環境を清潔に保つことが大切です。
その上で、予防薬や駆虫薬を使用し、一年を通して予防や駆除を行う必要があります。
薬には、錠剤やスプレータイプ、スポットタイプ(滴下)など様々な種類があります。
効果や持続期間なども異なりますが、市販されているものより、動物病院で処方してもらえる薬をおすすめします。
特に注意が必要な「マダニ」
また特に注意しなければならないのが「マダニ」です。
マダニから感染するSFTS(重症熱血小板減少症候群)は、犬の致死率が25%、人間では、27%〜30%といわれるほど怖いものです。
感染ピークは梅雨時と秋の2回ですが、一年中生息しているので、年間を通して予防する必要があります。
マダニは、主に山林や河原などに生息していますが、公園の草むらなどにも潜んでいます。
お散歩中に寄生されることもあるので、十分気をつけなければなりません。
予防薬には市販薬もありますが、十分な予防や駆虫は期待できない場合があります。
こちらも動物病院で処方されるものをおすすめします。
ただし愛犬にマダニが寄生しているのを見つけても、素手では触らないように注意してください。
マダニは人間にとっても危険な存在です。
獣医さんに駆虫薬を処方してもらい対処しましょう。
お散歩のあとは、ノミやダニがついていないか、忘れずにチェックしましょう。
回虫、鉤虫、条虫などの予防・駆除
回虫、鉤虫、条虫は、いずれも内部寄生虫で、消化器官などに寄生します。
犬の排泄物に口や鼻をつけてしまうことで感染することが多いのですが、回虫や鉤虫は、母犬からの胎盤感染や母乳感染をすることもあります。
主な症状は、下痢、貧血、血便、食欲不振などです。
症状が出ないケースもありますが、寄生虫を持っているとほかの病気にもかかりやすくなるので、動物病院などで定期的な検査(検便)を行うといいでしょう。
寄生していた場合は、駆虫薬を服用します。
条虫はノミが関係していることが多いので、ノミの駆除も行うようにします。
これらの予防は1年を通じて行う必要があります。
まとめ
犬にとって怖い感染症を予防することは、愛犬の命を守るために最も重要なことです。
そのため必要なワクチン接種を忘れずに行うようにしましょう。
また犬の健康を維持するために、ノミやダニ、フィラリアなどの寄生虫に対しても、予防や駆除を行う必要があります。
特にマダニは、人間の健康にも害があるため一年を通して注意が必要です。
予防としては、いつも部屋を掃除して清潔に保つこと、そして予防薬や必要な検査を定期的に行いながら、もし寄生されていたら動物病院で処方される駆虫薬などで駆除するようにしましょう。
いずれも獣医師さんに相談しながら、適切なワクチン接種や投薬を行うことが大切です。