体験談 病気・ケガ

難病からの復活!犬の僧帽弁閉鎖不全症を克服した「もなか君」

もなか君を襲った犬の僧帽弁閉鎖不全症とは?

犬の「僧帽弁閉鎖不全症」(そうぼうべん へいさ ふぜんしょう)という病気をご存知ですか?

こちらのサイトでは、以前も「僧帽弁閉鎖不全症」をご紹介しましたが、犬の心臓病では、最も発症率が高い病気です。

「僧帽弁閉鎖不全症」は、左心房から左心室に血液が流れる時、逆流を防ぐための「弁」に異常が起こります。

症状が進行すると、心臓と肺が一緒に悪くなり、だんだん息が苦しくなります。

そして最後は、陸で溺れているような苦しい状態になる、犬にとっては残酷な病気なのです。

僧帽弁閉鎖不全症の症状

  • すぐ息切れをする
  • ゼーゼーと咳をする
  • なんとなく元気がない
  • 手や肢の先が冷たい
  • 散歩や運動を嫌がる
  • 発作をおこすなど

軽度の場合は、加齢のせいだろうと、つい見過ごしてしまうことがあります。

しかし、重症になると、肺水腫や呼吸困難、チアノーゼ(舌の色が紫色になる)などの症状を起こし、死に至る場合もあります。

僧帽弁閉鎖不全症の治療法は?

僧帽弁閉鎖不全症の病状には、5段階あります。

【ステージA】
症状はなく治療は必要ない

【ステージB1】
心臓に構造的異常(心雑音)があるが、治療は必要ない

食事療法とサプリで進行を抑え、3カ月ごとに検診する

【ステージB2】
心臓に構造的異常(心雑音)があり、薬物治療が必要

【ステージC】
心臓に構造的異常(心雑音)があり、過去あるいは現在心不全の微侯あり

必要に応じ強心薬を使用

【ステージD】
内科的治療で効果があらわれない

 

治療は、病状のステージによって投薬の組み合わせを変えながら、症状の緩和と病状の進行を抑えることになります。

この病気は、外科的手術により完治する可能性が90%と高いのですが、手術にはいくつかの課題があります。

一つ目は、実際に手術ができる病院が少ないこと。

二つ目は、手術費用が、100万円〜200万円と高額なこと。

三つ目に、術後のリスクがあります。

 

愛犬が心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)と診断されたら、初期の段階で、手術ができる病院を探したり、費用面での準備などを検討しておくといいかもしれません。

今回ご紹介するトイプードルの「もなか君」は、ステージCから復活することがでた事例です。

もなか君ママさんからいただいた、貴重な体験談をご紹介します。

2021年6月 心臓病発覚

愛犬「もなか」は、知人宅で生まれたワンコです。

生まれて2か月になる頃、双子の姉である「こまち」と一緒にわが家にやってきました。

以来、長年に渡って大切に育ててきました。

これまで大きな病気もせず、いつも元気に走り回っていた「もなか」は、1年ほど前から軽い咳が増えていました。

かかりつけ医に相談したところ、

「咳は年齢によるものですね」

「老化により気管が緩むので咳が出るのです」

と言われましたが、この時は詳しい検査はせず、しばらく様子を見ることになりました。

この後、わが家の「もなか」に、あれほど大きな試練が待っているとは、想像すらしていませんでした。

しばらく様子を見ていましたが、咳はひどくなる一方です。

気になる私は、何度も先生に相談したのですが…

同じ返答が返ってくるばかりでした。

「本当に老化が原因なの?」

と不安になることもありました。

最初の診断から1年近く経った頃。

どうしても納得ができない私は、検査をお願いしました。

そこで思わぬ検査結果を聞くことになります。

「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)のステージC」

とのことでした…。

頭が真っ白になり、どうしたらよいのか、分からない状態でした。

7月15日 心臓病発覚から1ヶ月

「心臓病」ということが分かってから、さらに咳がひどくなりました。

「もなか」の体重がどんどん減っていきます。

少しでも助けたい、とすがる思いで病院に行くのですが…(涙)

薬だけが増えていくのです。

9月6日 心臓病発覚から3ヶ月

薬を、増やしても増やしても、咳のために眠れない毎日が続きました。

「本当にこの薬で大丈夫なの?」

「これで良くなるの?」

と不安と疑問を抱えながら…。

それでも私には、病院からいただく薬を飲ませることしかできません。

日に4回、薬を飲ませるのですが、咳による体力の衰えは明らかです。

1日中、動かない日も多くなってきました。

日に日に痩せ細っていく「もなか」…。

そのような中、さらに病状が悪化してしまいました。

「このままでは死んでしまう!」

と感じた私は、それまでとは違う病院に駆け込んでいました。

そこで「排水種」になっていたことが分かったのです。

「これまでの投薬は何だったの?!」

投薬を間違っていたのか?

それとも効かない薬を飲まされ続けていたのか?

いずれにしても、もなかの心臓病は、深刻な状態にまで悪化していたのです。

しかし、たまたま飛び込んだこの病院に、「もなか」は救われることになります。

手術をすることになる「しん動物病院」でした。

9月14日 手術を決心

この3ヶ月間で、元気だった「もなか」は、変わり果てた姿になっていました。

すっかり痩せ細って、動く体力もありません。

このまま放っておけば、死んでしまうのは明らかでした。

もなかを救うには、手術するしかありません。

しかし、手術するには高額な費用がかかります。

手術後のリスクもあります。

私たちは、何度も何度も家族会議をして話し合いました。

そしてついに、2ヶ月後の11月に「僧帽弁閉鎖不全症」の手術をすることを決めたのです。

日中もほとんど横になって過ごす「もなか」…。

いつ発作が起こるのか分からない不安と戦っていました。

夜通し「もなか」の呼吸を確認し、咳をする度に、上体を起こして背中をさする毎日が続きました。

あの時、こうしていれば…。

と考えたらキリがありませんが、正直、悔しい思いが今も残っています。

後になって分かったことですが、最初の病院で心臓病と診断されて以来…

私たちは、かかりつけ医の診断ミスで、ステージを読み間違えていたんです。

初期の症状ではなく、ほぼ末期に近い状態だったので、効果の大きい薬をもらう必要がありました。

飲ませていた薬は効果のないモノでした。

しかしこれは、無知だった飼い主の責任でもあります。

今の私に言えることは、セカンドオピニオンの必要性もあるということ。

1人のお医者さんだけではなく、複数のお医者さんに診てもらう、ということです。

9月17日【クラウドファンディング】に挑戦!

話し合いの末、私たち家族は、「もなか」の手術をすることにしました。

「手術によって改善する確率は、90%」

と言われましたが、「もなか」の心臓を一度止めて行う大手術になります。

しかし、私たちにはまだ、大きな問題が残されていました。

それは、「莫大な手術費用をどうするか?」ということです。

心臓病の手術費用は、100万円から200万円が相場です。

私たちには、この手術に必要なお金が高額の為、すぐに用意するのは難しかったのです。

そこで、祈るような思いで「クラウドファンディング」に挑戦することにしました!

「お金が集まらなかったらどうしよう!」

「本当に協力してくれる人がいるんだろうか?」

「でも、絶対にもなかの命は救いたい!」

様々な覚悟で挑戦した、「クラウドファンディング」でしたが…。

驚くべきことに、開始からわずか3時間44分で、目標を達成することができたのです!

「え〜!」

「すごい!」

嬉しさに心が震えました!(涙)

多くの人たちのご好意に涙が溢れました!

「ありがとうございます!ありがとうございます…」

これで「もなか」が助かるかもしれない!

わずかな光が見えた瞬間でした。

10月9日 病院検査

1ヶ月ぶりの検査です。

利尿剤を飲ませているせいで、腎臓の数値が上昇していました。

咳を止める為に利尿剤を飲ませるのですが、副作用で、腎臓に負担がかかっていたんです。

さらに、2度目の「肺水腫」で入院することに…。

肺水腫は、肺が機能不全を起こし、突然死んでしまうこともある、緊急性の高い病気です。

この時の「もなか」は、酸素室に入ることができ、なんとか生きている感じでした。

10月12日 退院

様々な数値が改善し、もなかが退院してきました。

11月9日の大手術まで、大切な命を守りぬかないと!

10月27日

もなかの咳は相変わらずですが、食欲はあります!

今週末の術前検査まで、もう少し!

【手術について】

手術は、しん動物病院の進先生にお願いしました。

http://www.shin-ah.net/

手術の全容や術前術後のフォローについては、こちらの本で詳しく勉強しました。

愛犬が『僧帽弁閉鎖不全症』と診断されたら読む本です

https://jasmine-vet.co.jp/

11月9日 手術当日

もなかの手術費用は、術後の入院費込みで100万円でした。

入院時に内金として50万円を支払い、退院時に残りの50万円を支払いました。

この手術代は、クラウドファンディングに支援していただいた多くの皆様のお陰です!

感謝してもしきれません。

そして、手術は無事に成功することができました。

手術後、先生から電話をいただきました。

「心臓がボロボロでした」

「この数ヶ月間、本当にツラい状態を頑張ってくれましたね」

その言葉に胸が苦しくなりました。

「もなか!頑張ったね!」

術後は、血栓や合併症のリスクがあります。

安心はできないけど…最初の山は、乗り越えてくれました。

11月11日 術後3日目

術後の3日間は、絶対安静です。

もちろん面会はできませんが、看護師さんが動画で様子を見せてくれました。

「もなか〜!」

手術直後は想像以上の痛々しさで、動画を見ただけでも胸が張り裂けそうでした。

何とか無事に回復してほしい!

11月13日 術後4日目

手術から4日目には、診察室での面会が可能になりました。

この頃は、動画で見たよりもだいぶ元気になっていたので、ほっとしました。

「もなか」は、私たちに向かって泣き叫んでいました。

「家に帰りたいよね!」

「でも、もう少し頑張って!」

11月16日 退院

手術から1週間が経ちました。

まだまだ合併症のリスクがあるため、安心はできませんが、退院の許可が出ました!

「もなか」が無事、わが家に帰ってきてくれました。

しかし、その後も通院は続きます。

定期検診は、1ヶ月ごとに半年間行い、継続して様子を見ることになりました。

11月27日 抜糸

術後も、まだ咳は残っていました。

咳の原因は、心肥大や肺水腫によるもので、長期間、気管が圧迫されていた事が原因らしいです。

心臓が元の大きさになるには、もう少し先になりそうです。

IMG_3386.png

1228日 術後1ヶ月検診

咳が無くなり、心臓の腫れが取れるのは、もう少し先になりそうですが、経過は良好!

今年は大変な1年だったから、当たり前の毎日が、ものすごくありがたく感じます。

2022年1月22日

咳はまだおさまりませんが、心臓の腫れが取れて、小さくなってきました。

先生から、「やっとここまで来れたね」との言葉に嬉し涙が出ました。

最近になり、「手術を選んで良かった」と思えるようになりました。

頑張ってくれた「もなか」と先生、そして応援してくれた皆さんに感謝しています。

2月27日 ついにお薬を卒業!

先生からついに、「経過も良好なので、薬も卒業だね」という言葉が!

聞き間違いだと思って、思わず聞き返してしまいました…(汗)

手術前は、毎日4回〜5回も薬を飲まなければなりませんでした。

薬が切れると、呼吸が荒くなり苦しそうにしていた「もなか」…。

もう限界のところまで頑張っていたから、嘘みたい。

普通に生活できるのが、ありがたい!

7月10日 8ヶ月検診

なんと!血液の逆流も一切なくなり、肥大していた心臓は、元通りの綺麗な形になっていました。

肺水腫で死にかけたあの日…。

とっさに駆け込んだ病院で、進先生と出会えました。

これは、もなかが引き寄せた強運だと思っています。

気管からくる咳とは、今後も付き合っていきますが、これからも一緒に乗り越えていきます。

もなか〜!

今日も元気でありがとう!

 

もなか君、ママさん!

貴重な体験談をありがとうございました。

【写真•情報提供/もなか君ママ】

インスタグラム

https://www.instagram.com/murakamimonaka

 

 

 

 

  • この記事を書いた人

にこまる

《13歳トイプードルの女の子 にこまる》/水晶摘出•左目失明•右目視力無し/乳腺腫瘍摘出/遺伝性網膜萎縮•アトピー性皮膚炎/気管虚脱/パテラグレード2から1に!

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