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犬の乳腺癌!最後まで頑張ったアンジュちゃんの体験談!

アンジュちゃんを襲った犬の「乳ガン」とは?

犬の「乳ガン」とは、「悪性の乳腺腫瘍」のことです。

犬の乳腺腫瘍の約50%は悪性の腫瘍(ガン)と言われていて、多くは10歳くらいで現れます。

こちらのサイトでは、以前も「乳腺腫瘍」をご紹介しましたが、避妊手術をしていない「雌犬」で多く発生する「腫瘍」です。

初めての発情が起こる前に避妊手術をすることで、乳腺腫瘍の発生を少なくすることができます。

ただし、乳腺腫瘍は、一見しただけでは良性と悪性を見分けることができません。

一度腫瘍を切除し、病理組織検査を行うことで、良性か悪性かを判断することになります。

小さい腫瘍ほど良性の可能性が高く、1cm 以下であれば、ほぼ根治することができるといわれています。

反対に、大きくなるほど(3cm以上)悪性の可能性が高くなります。

良性の腫瘍は、転移することはありませんが、悪性の場合、手術をしても再発したり、リンパ節や肺などに転移したりして愛犬の命の危険に晒します。

乳ガンの症状

「乳ガン」は、肺に転移することがあります。

胸部レントゲンで、肺への転移が判明した場合、獣医師から余命宣告をされることが多いそうです。

「乳ガン」の末期には、以下のような症状が見られるようになります。

【末期の症状】

  • 痛みによる食欲減退
  • 元気がない
  • 出血による貧血症状
  • 腫瘍からの悪臭
  • 極度にやせ細る
  • 咳が増える
  • 呼吸が速くなる・荒くなる

「ガン」が肺に転移すると、肺機能の低下で呼吸困難となり、犬を苦しめます。

そして、急速に生命力を奪っていきます。

「乳ガン」の治療法

「ガン」に対する治療方法には、大きく「外科手術」「放射線治療」「化学療法」の3つがあります。

「抗ガン剤」を使った治療は、化学療法にあたります。

抗ガン剤治療とは、注射や内服によって、抗ガン剤を全身に投与する治療法です。

犬や猫の場合、完治を目指すというよりも、進行を抑制したり、痛みを抑えながら、生活の質を維持するために使われることが多くなります。

抗ガン剤治療と聞くと、苦しい闘病生活をイメージする方もいるかもしれませんが、強い副反応が出ることは少なく、穏やかな生活を送るワンちゃんが多いそうです。

そのため、通院での治療が可能になることが多いようです。

ただし抗ガン剤治療は、全身性の腫瘍(リンパ腫、白血病)や、リンパ節や肺への転移がみられる腫瘍、手術をしても転移を起こす可能性が高いに適応されるため、人への医療に比べ情報が非常に少ないのが現状です。

愛犬に抗がん剤治療をするかどうか…

その判断を迫られていること自体が、非常に辛い状況ですよね…(涙)

今回は、悪性の「乳ガン」と診断され、最後まで頑張ったアンジュちゃんのママさんからいただいた貴重な体験談です。

2020年6月 〜1度目の手術〜

それは、突然の出来事でした。

アンジュの左下の胸に「しこり」を見つけたのです。

あの時は、本当にびっくりしました…(汗)

病院で検査をしたところ、「乳腺腫瘍」でした。

翌月に避妊手術と、乳腺腫瘍の摘出手術をお願いしました。

切り取った腫瘍は、病理組織検査に!

検査の結果は、「良性」。

ほっと胸を撫で下ろしました。

この時には「アンジュ」の命を奪ってしまう、壮絶な試練が待っているとは想像もしていませんでした。

2021年4月7日 〜2度目の手術〜

穏やかに過ごしていた我が家に、悪夢が襲いかかっていました。

前年の6月に、腫瘍を摘出したはずの乳腺に、新たな「腫瘍」が見つかったのです。

アンジュの乳腺腫瘍は大きくなるスピードが早かったため、4月7日には、左側の乳腺を全て摘出することになりました。

2度目の腫瘍は大きかったため、傷口も大きくなってしまったのですが…。

アンジュは2度目の手術も頑張ってくれました。

今回も「良性」であって欲しい!

と願っていたのですが、お医者さんからの言葉は厳しいものでした。

「検査の結果は、悪性の乳ガンです

頭の中が真っ白になり、どうしたらいいのかわからない状態でした。

しかもアンジュの「乳がん」は、リンパ管浸潤を伴う事から、転移性病変の可能性が高く、悪性の中でもさらに悪い状態であるとの見解でした。

残りの時間はどれくらいですか?」と、震える気持ちで先生に質問しました。

1年くらいかな…」と言う言葉に、愕然としてしまい、数日は泣くことしかできませんでした。

このとき、アンジュのママとして決めたことがあります。

「アンジュの前では常に笑って、後悔のない毎日を過ごそう!」

しかし、この時はまだ、心のどこかでアンジュの奇跡を信じていました。

5月27日 〜3回目の手術〜

2回目の手術から、わずか1ヶ月半後のことです。

3回目の手術をお願いすることにしました。

今回は、「ガン」をこれ以上転移させないための手術です。

乳腺の全摘出と左脇リンパ節を切除しました。

11歳のアンジュには、連続での手術には不安がありました。

しかし元気で体力もあったので、「少しでも長生きしてほしい」という気持ちで手術を決めたのです。

しかし切除したリンパ節からは、「転移性乳腺ガン」が見つかってしまいました。

先生からは、「抗ガン剤の治療をしても、1年くらいの命になるかもしれないほど悪い状態です」と言われました。

ある程度、覚悟はしていたつもりでしたが…。

嘘であって欲しかったです。

元気なアンジュを見ていると、不安な気持ちに押しつぶされそうでした。

6月3日 〜抗がん剤治療を決める〜

アンジュの対応についてお医者さんと話し合いをしました。

私たちには、「これ以上アンジュに何もしないか」、「抗がん剤治療をするか」の2択しかなかったのです。

「先生の犬だったらどうしますか?」

と私は聞きました。

すると先生は、「私の愛犬なら抗がん剤治療をやります」と即答しました。

そして、「抗がん剤治療をしてもしなくても、いずれ肺に転移にして呼吸困難の症状が出ますよ」

「抗ガン剤治療をしても、血液検査や肺のレントゲン検査によっては、中止する場合もあります」

と説明を受けたのです。

私は、色々な方に相談をしました。

この選択をすることで、辛く苦しい思うだけはさせたくない。

どうすることが正解なのか?

しかし、先生からは、副作用はないと言われたので、(カルボプラチンと言うお薬で点滴で投与)たくさんの反対意見の中、先生を信じて抗がん剤治療を始めることを決めました。

アンジュの抗ガン剤治療は、1クール4回の抗ガン剤点滴を、3週間に1回することになりました。

その後は、一旦終了となり、月1回の肺のレントゲン検査を半年行い経過観察をすることになります。

そして、「リンパ節の転移がんは、一番に肺に転移する確率が高い為から、咳をしていないか気をつけてください」と先生から言われました。

6月19日 〜抗がん剤の点滴開始〜

アンジュの抗がん剤治療の点滴は、1クール4回(3週間に1回)の点滴治療になりました。

抗がん剤点滴の1週間後に血液検査をして、白血球の数値が正常であれば、2回目の抗がん剤治療ができます。

1回目の抗がん剤点滴の後は、副作用と思われる症状は無く、いつもと変わらず元気いっぱいでした。

「このままガンが転移しないで消えてくれたらいいのに…」

「アンジュ」…。

7月18日 〜抗がん剤点滴2回目〜

2回目の抗がん剤点滴では、アンジュが暴れてしまい、7割程度しか投与できませんでした。

「アンジュも嫌だよね…」

点滴をするアンジュの姿を見るたびに胸が苦しかったです…(涙)

9月5日 〜抗がん剤4回目〜

抗がん剤の液が身体中に染みるのか、体をバタバタしながらも、アンジュは辛い点滴を頑張っていました。

「ハァハァしちゃうくらい嫌やで、怖いの分かるよ…ごめんね(涙)」

アンジュがバタバタしないように、抱っこしながら一緒に点滴を頑張りました。

無事に1クール4回の抗がん剤点滴が終わりました。

特に体調の変化もありません。

「良かった…」

これには、久しぶりにホッとした気持ちになりました。

この後は、月に1回のレントゲン検査になりました。

1ヶ月後のレントゲン検査で、ガン細胞の有無を確認します。

どうかアンジュの体からガンが消滅しますように!

そして二度と現れないで!

12月5日

月に一度のレントゲン検査の日。

1ヶ月前の11月の検査では「異常なし」で嬉しかったのに…

検査の結果は、7月の肺の検査では見られなかった、白い点状の物がたくさん写っていました。

先生からは、「大きさ的には、まだ小さいからなんとも言えない」とのことでした。

12月に入ってから夜中や早朝に、咳をしていた事は気にはなっていましたが…。

やっぱり…(涙)

心のどこかでは抗ガン剤が効いていると、思わずにはいられませんでした。

年明けに、レントゲン検査を受ける予約をして帰ってきました。

「明日からは、またたくさん笑って、楽しく幸せに過ごそうねアンジュ!」

1221

12月に入り、咳の回数が増えていました。

「肺にガンが転移すると、咳の回数が増えます」

と先生から言われていたので、すぐに病院に電話をしました。

病院に咳の回数が増えた事を伝えると、「すぐ来てください」との事でした。

喉の触診で『気管支炎』と言われ、念のためレントゲンを撮ったところ、前回と変わりありませんでした。

気管支拡張剤と炎症のお薬(抗生物質)が出ました。

肺のレントゲンを見てガンの転移の可能性を聞いてみました。

「ガンが肺にできると、肺には大きな丸や小さな丸など、バラバラの大きさのものが写ります」

「小さな点が多数写るのは、肺の血管が炎症を起こしている可能性があります」

「ガンである可能性は少ないが、絶対とは言えない」

というようなお話でした。

肺のレントゲンの写真 右側が125日•左側が1221

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202215

月に1回の肺のレントゲン検査に行ってきました。

咳の方は、まだ少し続いてるので、お薬を、さらに2週間続けることになりました。

年始あたりから、ご飯の食いつきが落ちてきたので、プレビコックスと言うお薬の影響が出ていないか(腎臓機能低下)血液検査もしました。

血液検査の結果は異常なしでしたが、肺は正面から見た写真だと白さが少し増えてる感じでした。

もし肺ガンが大きくなり、肺の中で破裂した場合は、吐血してしまうということでした。

肺の外で破裂した場合は、肺に水が溜まった状態になるので呼吸が苦しくなり、肩で息をするようになるとの事でした。

その場合の治療は、肺から水を抜くようになる、との説明を受けました。

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最近は、咳が増えてご飯の量も3分の1になりました。

いつも食いしん坊のアンジュなのに…(涙)

血液検査と肺のレントゲン検査の結果は…

1月の初めよりも肺が白くなっていて、肺に「ガン」の転移が見られるとのことでした。

そして、アンジュが苦しくないように、酸素ハウスを勧められました。

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咳は前より多くなって、ちょっと辛そうです。

肺に「ガン」が転移することは、覚悟してたとはいえやっぱり辛いものです。

1月28日には、胸に水が少し溜まっていました。

このまま水が溜まってしまうと、呼吸がもっと苦しくなるので、病院で水を抜いてもらうことになります。

胸水がたまる原因は、肺がんです。

治る期待は打ち砕かれたけど…

ゆっくり進行してくれることを願いたい…(涙)

2月13日

日に日に咳がひどくなり、寝ていることも多くなりました。

夜中の2時に呼吸が苦しくなり、慌てて病院に行きました。

胸水がたくさん溜まっていました。

水を抜いてもらったら、呼吸も楽になり、元気を取り戻してくれました。

大好きなササミも自分で食べてくれました。

「良かった〜」

痩せて小さくなったけど、ご飯を食べようね!

2月25日

今日のアンジュの体調は、まあまあかなぁ?

昨日からアンジュの呼吸が苦しそうだったので、酸素発生器を使うことに!

明日は病院に行って、また胸水を抜いてもらうことになりそうです。

3月7日

3月4日に胸水を400cc抜いてもらったのですが、今日も390cc抜いてもらいました。

水の溜まるペースが早くなっています!

今は、胸水抜いても苦しさが残るみたい…。

レントゲンも撮ってもらいましたが、前より白くなっているようでした。

最近は、胸水に血液も混ざり始めました。

貧血のせいか、舌が白くなっています。

「レバーペーストを多めに食べさせないと!」

最近は、酸素発生器が欠かせなくなっている。

元看護師のばあば(母親)の経験だと、あまり長くないって…

「でも大丈夫!」

5月に一緒に桜を見る約束をしたからね!

3月13日

今日も胸水を抜いてきました。

かなり苦しい日々を送ってます。

初めは1週間に1回、400cc胸水を抜き
3週間目には5日に1回、今は3日に1回胸水を抜いても苦しいみたいです。

いつまで水を抜けるのか…覚悟しなくてはならない状況がじわじわと迫っていました。

今は2日に1回、昨晩も夜中に酸素不足で眠れない時間を過ごしてました。

アンジュは、とても頑張ってくれているの苦しくなく過ごせるように…(涙)

3月19日

今日も肺が苦しいアンジュ…。

目に力はなく、食欲もない状態でした。

もう、胸水だけではなく、肺全体が苦しい状態です。

痛みや苦しみを全て、私がもらってあげたい!

3月22日

3月22日午前3時58分。

アンジュは名前のとうり天使になりました。

21日朝から呼吸が苦しくて、酸素マスクを口元に持ったまま助けを求めて病院に!

血液検査では白血球が増え、肺が真っ白に!

肺に転移したガンが一気に増えていました。

酸素室から出すと、1分もしないうちに、酸素不足で舌が真っ白に!

胸水は抜かずにステロイドの注射と薬をもらってきました。

血中酸素は、86%で長い時間苦しみましたが、苦しい中でも自分でお水を飲んだり、ママにキスをしてくれたり、とても頑張ってくれました。

優しく賢い子でした。

何もしてあげられないもどかしさ、酸素マスクで命を繋ぎ、苦しむアンジュに酸素マスクを当てること16時間…。

大きく3回…息を吸って眠ってしまいました。

ベストな環境を作ってあげれなかった悔しさ、大切な宝を失ってしまった悲しみがとても辛いです。

しかしアンジュは、やっと苦しみから解放されました。

ちゃんと最後まで見ていて声をかけて、撫でてあげる事が出来ました。

アンジュが幸せだった事を祈りたいです。

アンジュ!ママの子でいてくれて、ありがとう!

 

アンジュちゃん、ママさん!

貴重な体験談を、ありがとうございました。

この体験談を読んで救われる飼い主さんがいると思います。

私も、自分が体験したかのような気持ちになり、とても勉強になりました。

 

【写真•情報提供/アンジュちゃんママ】

インスタグラム

https://www.instagram.com/mama.anmo

  • この記事を書いた人

にこまる

《13歳トイプードルの女の子 にこまる》/水晶摘出•左目失明•右目視力無し/乳腺腫瘍摘出/遺伝性網膜萎縮•アトピー性皮膚炎/気管虚脱/パテラグレード2から1に!

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