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雌犬を家族に迎えたら、考えておきたい「避妊手術」
雌犬を家族に迎える時、「避妊手術」で悩む飼い主さんは多いですよね。
避妊手術には、病気の予防や他の犬とのトラブルを回避するといったメリットがあります。
しかし、麻酔リスクなどのデメリットもあるため、正しい知識に基づいた判断をする必要があります。
避妊手術しないと、どうなるの?
避妊手術をしないでいると、命に関わる病気を起こす可能性があります。
特に以下の3つの病気には注意が必要です。
- 乳腺腫瘍
- 子宮蓄膿症
- 卵巣腫瘍
乳腺腫瘍
「乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)」は、乳腺にできる腫瘍です。
避妊手術をしていない雌犬でよくみられる腫瘍の1つと言われています。
悪性の乳腺腫瘍になると、いわゆる「乳癌」です。
怖いですよね…(汗)
子宮蓄膿症
「子宮蓄膿症」とは、子宮の内部に膿が溜まる病気です。
犬では発情終了後~3ヶ月で起こりやすく、特に出産経験がない高齢犬では比較的頻繁に見られる疾患です。
5歳以上の雌犬に多いと言われています。
卵巣腫瘍
「卵巣腫瘍」とは 、雌の生殖器のひとつである卵巣が腫瘍化したものです。
比較的早い時期に避妊手術で卵巣を摘出している犬は、卵巣腫瘍の発生はあまりありません。
避妊手術のメリット
避妊手術(卵巣や子宮を摘出)のメリットは、上記で説明したような子宮や卵巣に関わる怖い病気を防ぐことができることです。
また、望まない妊娠を防ぐことができるなど、いくつかのメリットがあります。
しかし、10歳以上のシニア犬の場合は、腎臓や肝臓といった臓器の機能に問題がないか?などの事前検査など、思わぬ事態を引き起こす事態も予想されます。
子宮卵巣関係の病気がなくなる
避妊手術で卵巣や子宮を摘出するので、子宮水腫や子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍など、子宮卵巣に関わる病気を未然に防ぐことができます。
乳腺腫瘍の発生率が下がる
乳腺腫瘍は、愛犬が初めて発情する前に手術をすることで、発症のリスクを大幅に減らすことができます。
望まない妊娠を防ぐことができる
たとえ飼い主さんが望まなくても、発情期に交尾をして妊娠してしまうことがあります。
早めの避妊手術は、このような妊娠を防ぐ意味があります。
生理トラブルがなくなる!
犬の生理(発情出血)は、生後6〜10ヶ月頃から始まり、半年に1回程度起こります。
生理の期間は、1~2週間ほど。
陰部から出血が認められるため、汚れないようにマナーパンツなどをする必要があります。
生理中は他の雄犬を刺激してしまうことがあり、犬同士のケンカなどのトラブルが起こりやすくなります。
避妊手術によって、このようなトラブルを防ぐことができます。
発情期のストレスが減る!
生理中は、食欲や元気が減少したり、落ち着きがなくなったりする様子がよく見られます。
これは、発情期のストレスによるものです。
このようなストレスを抑制する意味でも、避妊手術が効果的です。
避妊手術のデメリット
避妊手術については、飼い主さんの考え方にも違いがあるため、必ずしも避妊手術が正しいということではありません。
ただし、いくつかのリスクやデメリットもあるため、獣医師さんと相談の上、判断することが大切になります。
手術による麻酔のリスク
避妊手術は全身麻酔をかけて行うので、手術中に不慮の事故が起こる可能性があります。
また手術後には体調不良を起こすこともあるため、獣医師さんとご相談の上、判断してください。
肥満になりやすくなる
卵巣を摘出してしまうと、ホルモンのバランスが乱れ、肥満になりやすいということがあります。
食事や運動などの管理をしっかり行うことが必要です。
妊娠できなくなる
避妊手術をするということは、文字通り妊娠・出産ができなくなるということです。
避妊手術に正解はありませんが、愛犬の幸せを考えて検討したいですね。
今回は、そんな「あずきちゃん」と「ゆずちゃん」が避妊手術をしなかった事を後悔したママさんの体験談です。
子宮蓄膿症と診断された「あずき」ちゃんの体験談!
こんにちは!
今回は、私が飼い主として後悔している体験談をお話しします。
それは、避妊手術をしなかったことです。
「健康な体にメスを入れるなんて…」と思って、避妊手術をしなかったんです。
しかし、それが原因で、可愛い愛犬たちを、大変な病気にてしまったのです…(涙)
2018年 10月
あずきが9歳になる頃のことです。
それまで元気だったのに、急に下痢気味になり、それがしばらく続いていました。
心配になって病院に連れて行くと、蛋白漏出性腸症(たんぱくろうしゅつせい ちょうしょう)と診断されました。
この病気は、腸管内部から多量の蛋白が漏れ出てしまうことによって、慢性的な下痢を起こす病気です。
また、低蛋白血症の為、血液中に水分を保持する力が低下し、浮腫や腹水の症状が起こりました。
ご飯も食べられなくなり、徐々に衰弱する「あずき」…(泣)
仕方なく缶詰のご飯をシリンジで口に運び、少しずつ食べさせる状態でした。
ところが、さらに想像もしていなかった病気になってしまったのです。
私たちにとっては、まさかの「子宮蓄膿症」でした。
かかりつけの病院では、処置ができないと言われ…。
慌てて、大きな病院で緊急手術をしてもらうことになりました。
本当にあの時は、どうなることかとビックリしました…(汗)
子宮蓄膿症の手術は、子宮と卵巣を摘出し、腹腔内に漏れ出した膿(うみ)を除去・洗浄するといった内容でした。
手術は成功し、5日間の入院をすることになりました。
あの時は、本当に頑張ってくれました…(涙)
退院後は、しばらく元気がなかったのですが、食欲が徐々に回復するに従い、安心したのを覚えています。
2021年 6月
子宮と卵巣を摘出した3年後…「あずき」が12歳になった頃のことです。
今度は、乳腺腫瘍ができてしまいました。
乳腺腫瘍は、初回発情前に手術を行えば、95%以上防ぐ効果があり、2歳以上になると0%だと言われていました…。
「あずき」は、子宮と卵巣を摘出していたのですが、乳腺腫瘍ができ、急激に大きくなっていました。
シニアでの全身麻酔は不安でしたが、2回に分けて腫瘍の全摘出手術を行いました。
シニアの体で、あずきは、2回の手術を懸命に耐えてくれました…(涙)
切り取った腫瘍は、病理組織検査に!
数日後の病理組織検査の結果は、良性でした。
これには安心しました…(泣)
2022年8月
乳腺腫瘍の手術から1年以上が経過し、もう大丈夫と思っていたころ…
乳腺腫瘍が再発してしまいました…(汗)
現在、経過観察中ですが、とても心配です。
10月に入り、蛋白とアルブミンの値が、最低基準値よりかなり悪くなりました…(涙)
そこでステロイドの量を2週間増やして、食事を変えるようにしました。
そのおかげで、数値が、基準値におさまるようになりました。
ホッとしましたが、血便混じりの下痢を起こし、貧血にもなっているので、毎週のように病院に通っています。
あずきも頑張ってくれているので、現在は、なんとか炭水化物を食べてもらうよう悪戦苦闘しています。
同時期に乳腺腫瘍になった「ゆず」ちゃんの体験談!
2021年5月、もう一頭の愛犬「ゆず」が、11歳で乳腺腫瘍になりました。
「あずき」とほとんど同じ時期の発症だったので本当にビックリしました!
「ゆず」の乳腺腫瘍の摘出手術は、2回に分けての全身麻酔で摘出しました。
摘出した2つの腫瘍は病理検査に!
検査の結果は…
1つは良性でしたが、もし1つは、悪性(癌)でした。
結果を聞いた後は、頭の中が真っ白になっていました…(涙)
「癌」は、組織グレード1で、転移率は3.4%と言われました。
乳腺腫瘍の手術をすでに行っていたため、転移が認められない以上、できることはありません。
獣医師からは「今のところ、できることはないので経過観察をしましょう」と言われました。
先の不安はあるけど、手術して良かったです。
これ以上、何も起こらないことを願っていましたが…(汗)
2021年 7月
乳腺腫瘍手術から2ヶ月後のことです。
「ゆず」の胸に、新たな「できもの」を発見しました。
次の日に、部分麻酔切除してもらいました。
何回も何回もごめんね「ゆず」…(涙)
「ゆず」の乳腺腫瘍は、その後はできていません。
「癌」と診断されステージ1でしたが、その後、再発や転移もなく経過観察を続けていました。
あずきちゃんママさんが伝えたい事!
実は…以前から「子犬のうちに避妊手術しないと乳腺系の腫瘍ができますよ」と獣医師さんに言われていたのですが…(汗)
まさに先生の言う通りでした。
歳を重ねてきたわが子に負担を与え、怖くて痛い思いを何度もさせてしまったことを、とても後悔しています…(涙)
その子の体質や、飼い主の考えもあると思いますが、今度ワンちゃんを家族に迎えることがあったら、早めに避妊手術を受けさせようと思っています。
これからもママが、しっかりサポートするからね!
あずきちゃん、ゆずちゃんママさん
ありがとうございました。
【写真•情報提供/あずきちゃん、ゆずちゃんママ】
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